「元神明宮」に初めて訪れたのは、
知人に紹介された時でした。
「金運・仕事運が上がるから、一度行ってみると良いよ。」
高級住宅街の真ん中に佇む「元神明宮」。
鎮座1000年を超える神聖な場所の、
偉大なる運気アップの力を今回はご紹介していきたいと思います。
1.元神明宮の歴史
①平安時代に一条天皇の勅令によって創建
平安時代の寛弘2年(西暦1005年)、
一条天皇の勅令により創建されました。
現在の三田周辺はかつては嵯峨源氏・渡辺一党の産土神として崇敬を集めたとされております。
②頼光四天王の一人、渡辺綱の伝説とその産土神
渡辺一党の祖である渡辺綱の産土神でもある事から、
「御田八幡神社」「春日神社」とともに篤い崇敬を受けたと言います。「御田八幡神社」は、渡辺氏の氏神であったので、渡辺綱から「綱八幡」と呼ばれていたそうです。元神明宮は、江戸時代以前は、「小山神明宮」などとも呼ばれていたそうです。
③元神明と称された由来・芝大神宮との関係
天正18年(1590年)、関東移封によって
徳川家康が江戸に入府しました。
慶長3年(1598年)、増上寺が江戸城の拡張に伴い、現在地の芝公園へ移転。
その移転に際して、古くから飯倉山(現・芝公園)に鎮座していた「飯倉神明(現・芝大神宮)」が現在の鎮座地(現・芝大門)へ遷座。
以降は、「芝神明(芝大神宮)」と称されるようになりました。
この際、徳川家康により、神宝・御神体が現在の芝大神宮に移されるよう命じられました。
しかし、境内の御神体だけは渡せないと隠し、警護して守ったそうです。
よって、「芝神明」に対して、「元神明宮」と称されるようになりました。
以後、芝神明と共に崇敬を集め、徳川将軍家より、
葵ノ紋章付奉幣串等が奉納されています。
④隣に有馬家上屋敷と水天宮
また、元神明宮には、
安産の神、水の神である水天宮が祀られております。
文政元年(1818年)、
隣接する有馬藩邸内に、邸内社として領地の久留米水天宮から分祀され、
有馬邸が明治初期に青山に移転する際、
元神明宮にも御分霊を奉斎しました。
その後有馬邸内社は日本橋蛎殻町の現水天宮に鎮座しました。
関東大震災や、東京大空襲など、多くの災厄から崇敬社を守った事から、
近年では厄除けの神社として全国の方々より崇拝されています。
⑤明治以降の歩み・平成になり現社殿を増営明治になり神仏が分離、明治2年(1869年)「天祖神社」に改称。今でも社号碑にその名前が刻まれております。
明治30年(1897年)、拝殿の屋根を改修。大正14年(1925年)、本殿と幣殿を改修。
戦後、更に境内整備が進みます。戦後、「天祖神社」から「神明宮」に社号も変更します。
御社殿の老朽化に伴い、全面的な改装を行い、
平成6年6月に現在の近代的な御社殿になりました。
平成17年(2005年)、鎮座1000年の記念事業が行われました。
2.元神明宮には何がある?
①「天租神社」と書かれた入口
社号は、旧名称の「天租神社」となっています。
名称が刻まれた石は古いですが、
それを囲っている石は恐らく最近作られたものだと思われます。
②沢山の記念碑や力石
元神明宮には、沢山の記念碑があります。
“奉納”と書かれたものも多いので、
ご近所の方や、こちらを崇敬している多くの方々の奉納によって綺麗にされている神社だと思われます。
その中には力石も置かれています。
③鳥居
表参道の階段を登った途中に鳥居があります。
④百度石
百度石は、多くの神社に置いてあります。
特に階段をのぼった所にある神社にある事が多いです。
鳥居の手前にありました。
百度石とは、
神社や寺院に設置されているお百度参りの基点となる石で、
この石を参拝のスタートとゴールにする事が出来ます。
石と本堂の往復で1回参拝したとカウントされます。
百度石は、鳥居の近くや参道に設置されている場合が多く、様々な種類のものがあります。
お百度参りとは、
日本の民間信仰で、神仏に祈願するために同一の社寺に百度参拝する事です。
⑤狛犬
万延元年(1860年)奉納の、比較的古い狛犬になります。
右が阿形、左が吽形です。
阿吽共に子を抱いている狛犬となります。
多く神社を訪れましたが、子持ちの狛犬は珍しいです。
⑥手水舎
石段をのぼり、鳥居をくぐると、
左手に手水舎があります。
コロナ禍になってから、ここは使用不可となっております。
天和3年(1683年)に奉納された、これもまた大変古い水盤になります。
手前にあるボタンを押すと水が出るという仕組みになっており、
古い手水石を利用しつつも、新しい仕組みになっております。
⑦社殿
平成6年(1994年)に改築された、コンクリート打ちっぱなしの現代的デザインになっております。
しかし中は、伝統的な木造社殿が納められているのが凄く特徴的です。
両脇に社殿と社務所がある2階への階段が設置してあります。
木造社殿の木鼻には、獅子の彫刻があります。
風雨に晒されていないので、20年以上経ってもとても綺麗です。
⑧社務所
社務所は、分かりにくいのですが、
コンクリート造の建物の階段を上がった2階、
向かって右手側の方にあります。
普段は人がいたりいなかったり様々です。
社の隣りに神主さんが住んでいるようで、
もし用がある場合にはそこのチャイムを鳴らせば対応して下さいます。
⑨天白稲荷神社
境内社は全て稲荷神社で、大変多く鎮座しております。
石段の左手に鳥居が複数あり、その先に境内社があります。
途中に小さな狛犬などが置かれています。
いずれも古い造形なので、あまり他の神社では見られない珍しい形のものが沢山あります。
石段の先にあるのが、「天白稲荷神社」です。
戦前に行われていた「三田七福神」が合祀されています。
⑩権太夫大神
表参道の石段をのぼり、鳥居をくぐった左手に
稲荷神社が2社あります。
小さなお社と、その奥に鳥居付きの社です。
奥の大きい方のお社には、「権太夫大神」と書かれています。
11庚申塔
奥にひっそりとあるのは、
古い庚申塔です。
「庚申塔」とは、寿命を縮めないために江戸時代に流行した民間信仰です。
旧暦では60日に1度、庚申(かのえさる)の日がやってきますが、
この夜眠ってしまうと、人の体内の三し(さんし)という虫が天に昇り、天帝にその人の日頃の行いを報告するという道教の教えがあり、罪状によっては寿命が縮まると言われておりました。
日本では10世紀頃には盛んだったようで、江戸時代には全国の農村などで大流行しました。
12平河稲荷神社社殿の階段近くにも稲荷社が2社あります。赤い鳥居の方が、「平河稲荷神社」です。旧江戸城内紅葉山に鎮座していた稲荷神社で、3代将軍、徳川家光の御台様が信仰していたと伝えられている
13銀杏稲荷神社
ここは、仮宮になります。
一時的に当宮へ遷されていたお稲荷様です。
現在は、元の地である、近くのタワーマンションの一つ、パークコート麻布十番へ戻されました。
3.元神明宮には何の神様が祀られている?その御利益は?社格は?
⑴天照大御神(あまてらすおおみかみ)
当宮には伊勢信仰の「神明宮」として、天照大御神が祀られています。
「神明」とつく神社の神様は天照大御神になります。
主祭神となります。
太陽神、皇祖神、日本の総氏神様。
⑵天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)(水天宮)
江戸時代まで久留米藩主有馬家の上屋敷が隣接していた事から、有馬家の邸内社であった「水天宮」の分霊が相殿としと祀られています。
宇宙の根源神。
安産・子育ての神様として有名な水天宮にも祀られています。
⑶宇迦之御魂神(うかのみたまのみこと)
稲の精霊を神格化した神様。
五穀豊穣、諸産業繁盛の神。
⑷七福神
大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、恵比寿天(えびすてん)、寿老人(じゅろうじん)、福禄寿(ふくろくじゅ)、弁財天(べんざいてん)、布袋尊(ほていそん)
の7つの神様の総称。
⑷社格
旧村社。
4.元神明宮に行った感想は?
ここは、今では氏神様としてお世話になっています。
なので、月に最低でも1回は参拝に行っており、
自分の中で一番存在感があり、一番身近で見守って下さっている神社ですが、
氏神様になる前に初めて参拝に訪れた際には、
他の神社に比べて存在感が薄く、そんなに記憶に残りませんでした。
でも、こうして氏神様になるほどに御縁を繋いで下さるくらいなので、
目立たないけれど、数年かけて御利益が訪れる神社だと思いました。
本殿に祀られているのら天照大御神なので、
やはりとても寛大でパワーのある神様で、
しかしお稲荷さんの厳しさもあり、
何とも言えないバランス感覚のある神社でした。
多分、一度訪れた方は、
数年後にこの神社との御縁を感じる事があると思います。
5.元神明宮はどんな人におすすめ?
①子宝を授かりたい人
本殿の相殿に、水天宮が祀られている事から、
妊娠を望んでいる女性に是非参拝して欲しいと思う神社です。
本家の「水天宮」の方が、その御利益は強いと感じますが、
相殿にあるのも珍しいので、
ここも本家に勝るくらいの子宝運を強めて下さると思います。
逆に言うと、
子宝がなかなか授かれない人であれば、
その原因を取り除いて下さったり、
子宝を望んでいなくても、何か見えないカラダの不調があればそれを浮き彫りにして下さったりします。
私はここが氏神様になってから、
女性ホルモンの不調が浮き彫りになりました。
たまたまかもしれませんが、
ここに水天宮が祀られていると知って、きっとそのおかげもあるのかなと思いました。
②安産祈願の人
既にお子さんを授かっていて、安産を祈願する人にもこちらはおすすめです。
これも水天宮の御利益です。
③数年先の願い事を叶えたい人
神社によっては、
すぐに御利益を感じられる所と、
数年後に、ああ今になって効いてきたのかという所とがあります。
元神明宮は、後者です。
数年後に御利益を感じられます。
比較的、どのジャンルの願い事も聞いて下さるイメージがあります。
願い事もそうですが、それよりも、
その人にとって必要な良い人生に導いて下さいます。
あとは、その人が本当に心から望んでいる事を、すぐではなくて数年後に叶えて下さいます。
6.元神明宮の行事や御守り、御朱印は?
①元神明宮の行事は?
一番大きいイベントというと、この『元神明宮例大祭』というものです。
毎年9月中旬に行われます。
神社では最も大切なおまつりをする日です。
大祭とは、その神社をあげての祭典で、
奉仕する神職も、前日からお宮におこもりします。
潔斎といって身を清め、
服装も公服といって古来、最も重い儀式に参列するときに着た衣冠という服装をします。
その他のイベントとしては、
歳旦祭、節分追儀式、祈年祭、七五三詣、大祓などがあります。
コロナ禍で恐らく人が多く集まるイベントは自粛していたようですが、
6/30の大祓の前には、神社の鳥居をくぐってすぐの所に大きな丸い輪が設置されており、
そこを決まった手順で回ると身を清められるというものがありました。
②元神明宮の御守りや御朱印は?
⑴御守り
沢山の御守りがありますが、
特に有名なのは、
元旦から節分までの期間限定で授与して頂ける
『新芽開眼守護符』というものです。
初穂料は1000円です。
新規開店・新縁成就・心願成就などのご神徳。
こちらには清め砂が付いてきます。
その砂に御守りを挿し、水をかけて自分で育てて下さい、と説明書きがあります。
その他、通常置いてある御守りには、
『総合運守』『病気平癒守』『開運厄除御守』『合格守』『金運守』『勝守』『安産守』『長寿守』『交通安全守』『学業成就守』などがあります。それぞれ初穂料は800円です。神社の中では、御守りの種類は少ない方かもしれません。
元神明宮は、恐らく御祈祷や奉納をする人の方が割合的に多いのかもしれません。観光の神社ではないので、どちらかというと地味に感じる方もいると思います。
⑵御朱印
初穂料:500円
社務所にて。
元神明宮の御朱印は、
銀金が散りばめられた高級紙による書き置きでの授与となります。
紙は高級ですが、日付以外は全て印刷となっております。
2014年頃には初穂料が300円でしたが、
2021年には500円に値上げしたようです。
7.元神明宮へのアクセス
①住所
〒108-0073
東京都港区三田1-4-74
②電話
03-3451-2493
③電車でのアクセス
東京メトロ南北線 麻布十番駅
都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅
都営地下鉄三田線 芝公園駅
が最寄り駅になります。
芝公園からですと少し遠いと思います。
徒歩15分くらいでしょうか。
東京メトロ南北線麻布十番駅ですと、2番出口から住宅街を通って行く道が近いですが、もしかしたら分かりにくいかもしれません。
3番出口を出て、大通りを真っ直ぐ三田方面へ行く道の方が、分かり易いかもしれません。
都営地下鉄大江戸線赤羽橋駅からですと、
中之橋口から出て、地上を右手に真っ直ぐ歩き、
中之橋交差点の信号を左に渡って、橋を越えた所の信号も渡って永遠に真っ直ぐ行くと、
左手に元神明宮が見えてきます。
都営地下鉄三田線芝公園駅は、遠いのでおすすめしませんが、A2出口を出て、
出た通りを麻布十番駅方面に進んで、赤羽橋南の交差点も突っ切って、中之橋の交差点を左に曲がります。
暫く真っ直ぐ行くと、坂を少しのぼった所の左手に元神明宮が見えてきます。
④車でのアクセス
タクシーなら、オーストラリア大使館までと伝えれば良いと思います。
お車なら、元神明宮のすぐ近くにパーキングがあるので、そこに停めれると思います。参拝の時間は長くても30分居ないだと思いますので、都心の駐車場は料金が高いですが、30分でしたらそんなに高くならないと思います。
ちなみに、元神明宮内に参拝者用駐車スペースはありません。
8.まとめ
如何だったでしょうか?
元神明宮は、私も一番最初に行った時、
どこにあるのかなと探したのですが、
それくらいひっそりとある神社です。
近くにお寺があって、最初そこと間違えてしまいました。
オーストラリア大使館側から来られる方は注意して下さい。
元神明宮は、”神明坂”という坂をくだった所にあります。
オーストラリア大使館は、その坂の上にあります。
コメントを残す